Prionics AG 社 PrioCHECK™ Toxoplasma Ab ブタELISA キットを⽤いた診断試験の感度と特異性

はじめに

ELISA プロトコールは、異なる試薬の添加、インキュベーション、マイクロプレート洗浄ステップおよびOD 測定などのルーチンステップを含みます。多くの場合実験台には、アッセイ手順に必要な⼤きな器具あるいは複数の機器が混在しています。スペース不⾜は⽣産性に悪影響を及ぼします。全自動ELISAシステムCrocodile LB925は、標準のスタンドアロンELISAリーダーのサイズで、5 つの個々の機器の機能性を持ち合わせています。このアプリケーションノートでは、ELISA 検査キットPrioCHECK™Toxoplasma Ab ブタ(Prionics AG 社製)を使⽤し、このシステムの診断感度と特異性を実証します。

トキソプラズマ症は、サルコシスティダエ科(Sarcocystidae)に属する原⽣動物寄⽣⾍トキソプラズマ・ゴンディイ(Toxoplasma gondii)によって発症します。トキソプラズマ感染は、ヒトおよびその他多くの温⾎動物種に広範に存在します。出現は世界規模でありますが、ヒトおよび動物集団での罹患率は国によって⼤きく異なります。

PrioCHECK™ Toxoplasma Ab ブタによる診断とパフォーマンス

PrioCHECK™ Toxoplasma Ab ブタは、ブタ⾎清、⾎漿および⾁汁サンプル中のToxoplasma gondii に対する抗体の検出のための信頼性の⾼い効率的な診断⽅法で、調査および監視⽬的で使⽤できます。
PrioCHECK™ Toxoplasma Ab ブタは、ブタ⾎清サンプル(50 陽性、270 陰性)の評価では、98%の感度および99.6%の特異性を⽰しました。またブタ⾁汁サンプル(33 陽性、116 陰性)では、感度および特異性はそれぞれ97%および100%でした。 これらのサンプルの状態(陽性、陰性の判定)は、国⽴の研究所などでIFAT、WB およびELISA 等の⽅法により確認されています。

使用機材

測定システム:全自動ELISAシステム Crocodile LB925
       シングルチャンネルピペット (20-200µl)

試薬:    PrioCHECK™ Toxoplasma Ab porcine (Prionics AG社)
        品番:7610230
        ロット番号:TX100401M
        使用期限:2011/04/30

消耗品:   脱イオン水、溶液ボトル、ピペット用チップ

方法

テスト手順

診断感度は感染動物を正確に同定する能⼒として定義され、診断特異性は⾮感染動物を正確に同定する能⼒として定義されます。診断感度および特異性を決定するために、全自動ELISAシステム Crocodile LB925を⽤いて90 サンプルを分析しました。使⽤した試料のうち20 個が陽性であり、70 個の試料が陰性の試料であることが確認されています。試薬および試料の希釈は、試験⼿順書に記載されているように⾏いました。陽性、陰性および弱陽性対照を2 回ずつ測定しました。

定量原理

図1: ELISA反応の⼿順ステップの概略図。PrionicsからのELISAキットを、キットの説明書に記載されているように実施しました。各ウェルの吸光度を、450nm/620nmで測定しました。

PrioCHECK™ Toxoplasma Ab ブタは、Toxoplasma gondii に対する抗体の検出の間接的ELISA です。この試験は、短い4 ステップELISA プロトコルに従います。サンプルを、トキソプラズマ抗原で被覆したプレート中、室温でインキュベートします。次いで、プレートを洗浄し、酵素標識抗ブタ抗体を添加します。シグナルが測定され、⾊が発⾊する場合、サンプルは抗トキソプラズマ抗体について陽性と判定します。試薬および試料の希釈は、試験⼿順書に記載されているように⾏いました。最後のページにはCrocodile のアッセイプログラムが掲載されています。

測定結果

試料の陽性率を次のように定義します。
(サンプルOD)/(陽性対照OD)* 100 = 陽性率:X%

検証基準

陽性対照の平均OD450 は>1,2 でなければなりません
弱陽性対照の陽性率の平均は、>35%
陰性対照の平均OD450 は<0.15 でなければなりません

図2:陽性(PC)、陰性(NC)および弱陽性(wPC)コントロールを2 回測定しました。PC の平均OD450-620 は2.04 で陽性率はこのOD450-620 に対する%を⽰します。

図3:テストしたサンプルの陽性率を⽰します。20 サンプルが陽性となり、70 サンプルが陰性となりました。

まとめ

すべてのテスト基準が満たされています。この試験で決定された陽性対照の平均OD450-620 は2.04 でした。弱陽性対照の陽性率の平均割合は47%、陰性対照の平均OD450-620 は0.03 でした。
20 の確認された陽性サンプルすべてが正しく同定され、全自動ELISAシステム Crocodile LB925とELISA テストキットPrioCHECK™ Toxoplasma Ab ブタの組み合わせを⽤いて所期の診断感度が得られました。70 の確認された陰性サンプルすべてが正しく同定され、全自動ELISAシステム Crocodile LB925とELISA 試験キットPrioCHECK™Toxoplasma Ab ブタの組み合わせを⽤いて所期の診断特異性が得られました。

結論

ELISA分析⼿順にクロコダイルを使⽤することは⾮常に簡単であり、必要な操作はサンプルの添加のみです。全自動ELISAシステム Crocodile LB925は、ELISA 検査キット PrioCHECK™Toxoplasma Abブタの使⽤に適しています。このアプリケーションノートでは、キットの診断感度と特異性が全自動ELISAシステム Crocodile LB925を使⽤して完全に達成されたことが⽰されています。

謝辞

本試験に於きまして、試薬供給およびテクニカルサポートを頂きました、Prionics AG 社およびPascal Schacher ⽒、Mario Pürro ⽒、Daniel Zwald ⽒のご協⼒に深く感謝申し上げます。

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※本ページの内容は2011年2月にTitertek Berthold社がリリースしたアプリケーションノートのアーカイブです