衛生管理

衛生状態を迅速に評価するには?

ATP(アデノシン三リン酸)はすべての生細胞に存在するため、ヒト由来や細菌由来などの生物学的汚染の指標となります。ATPは、ルシフェラーゼ酵素とルミノメーターを組み合わせて使用することで、発光反応により迅速に検出することができます。測定される光の強度は、ATP量に比例します。

衛生試験では、試料中の総ATP量を測定しますが、これには真核生物由来ATPおよび微生物由来ATPの両方が含まれます。また、ATPは多くの表面に存在するため、試料や器材の汚染を防ぐことに十分注意する必要があります。
ATPフリーの綿棒は、あらかじめ湿潤された状態で提供されるか、あるいは使用者がATPフリーのバッファー、水、または抽出液で湿らせて使用します。抽出液を用いることで、表面からATPを効果的に遊離させることができ、サンプリングが容易になります。携帯型ルミノメーターを使用する場合、通常は綿棒を用いた試験を直ちに実施します。ただし、製品によっては、綿棒が数時間安定であるものもあり、その場合は使用者が装置のある作業スペースに戻って測定することも可能です。

微生物由来ATP量を測定する場合には、選択的抽出法が用いられます。まず、非イオン性界面活性剤(Triton X-100)を用いて非微生物由来ATPを抽出し、その後、高濃度のジャガイモ由来ATPアーゼで5分間処理することにより、これを分解します。
次に、トリクロロ酢酸(5%)、有機溶媒(エタノール、アセトン、クロロホルム)、または陽イオン性界面活性剤を用いて微生物ATPを抽出します。有機溶媒を使用する場合は、ルシフェラーゼ阻害を避けるため、後続の希釈操作が必要となります。

最終工程として、ルシフェラーゼおよびルシフェリンを添加し、ルミノメーターにより発光量を測定します。この際、ルシフェラーゼ阻害の影響を考慮し、混合および測定のタイミングを慎重に管理する必要があります。真核細胞中のATP量は細菌細胞のATP量より約3桁高いため、真核生物由来ATPと微生物由来ATPを正確に分離定量することは、場合によっては困難です。
多くのメーカーでは、必要な試薬や資材がすべて揃っていてすぐに使用可能なキットを提供しており、これにより試験プロトコルを簡便かつ迅速に実施することが可能となっています。

結果の解釈

一般に、清浄な表面では総ATP量は低い値を示します。そのため、清浄状態のバックグラウンド値の2~3倍を超える発光強度が検出された場合、測定対象の領域が生物由来物質で汚染されていることを示します。ただし、本手法は非常に高感度であるため、実際の運用ではバックグラウンド値の10倍を判定基準として設定することも可能です。
いずれの測定製品を使用する場合でも、試験に適した合格/不合格(Pass/Fail)基準値を設定するための事前検討が必要となります。これは多くの場合、通常の清掃手順に従って基準データを収集することで行われます。設定されるしきい値は、表面の材質や状態、ならびに使用される清掃方法に依存します。

衛生モニタリングに推奨される機器

衛生モニタリングでは、測定が現場で行われることが多いため、携帯型ルミノメーターが一般的に最適な測定機器として選択されます。フォトダイオードを用いた低価格のハンディ型ルミノメーターは、「汚染されている/されていない」といった定性的評価には十分な場合があります。一方、Junior LB 9509のような光電子増倍管(PMT)方式の装置は、より高い感度と広いダイナミックレンジを備えており、定量測定には最適な選択肢です。

推奨製品

試薬:高感度なATP発光測定用試薬 (各社製品)
装置:チューブルミノメーター (Berthold Technologies製)

この実験系には下記の装置が最適です!